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脳神経外科「主な対象疾患の説明」2

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破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

原因

主として脳血管に発生した嚢状動脈瘤の破裂、もしくは血管の壁が裂ける解離により生じます。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

症状

いつ起こったか分かる、突然の強い頭痛が生じます。いきなり昏睡状態となることもありますが、逆に比較的軽い頭痛で発症することもあり、注意が必要です。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

治療方針

動脈瘤の根治術を行います。頭蓋内血腫がある場合は通常、開頭手術により血腫を除去します。その他水頭症に対しては、余分な脳脊髄液を対外に排出するドレナージ手術も考慮します。しかしながら両側の瞳孔が散大した場合、呼吸が停止した場合、血圧がかなり低下した場合は動脈瘤の根治術の対象外となり得ます。

治療方法

嚢状動脈瘤の根治的治療

1)開頭手術により動脈瘤の頸部に金属製のクリップをかけ、動脈瘤を遮断する方法(動脈瘤頚部クリッピング手術)

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

2)動脈瘤の内部に柔らかいコイル状の金属を入れ、動脈瘤を閉塞させてしまう方法(動脈瘤コイル塞栓術)

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

があります。どちらを選択するかは動脈瘤の形状や部位により決めます。

解離性動脈瘤の根治的治療

開頭術もしくは血管内手術により、動脈瘤を遮断します(トラッピング手術)。その際、バイパス手術を併用することも多くあります。

治療結果

4分の1の方が社会復帰、4分の1の方が家庭内復帰されますが、重篤な障害を残したり亡くなられたりすることも多くあります。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

※許可を得て引用:
 1.日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜
 2.患者さん説明用スライド解説書"NO梗塞NOリターン(日本脳卒中協会, サノフィ.アベンティス社)

未破裂脳動脈瘤

原因

中膜欠損等の要因により脆弱となった血管分岐部に、血流が勢いよく当たることにより、血管の瘤が発生するとされています。多発性嚢胞腎症、Ehlers-Danlos IV型、Marfan病、神経線維腫I型、α1 antitrypsin欠損症など、脳動脈瘤が発生し易い疾患があり、注意が必要です。また、高血圧、喫煙、大量のアルコール摂取なども動脈瘤の形成や破裂に関与するとされています。通常は壁が薄い嚢状動脈瘤ですが、動脈硬化等による紡錘状の動脈瘤や、血管の壁が裂ける解離性動脈瘤も発生します。

未破裂脳動脈瘤

原因

1) 嚢状動脈瘤
通常はある程度の大きさになったり、破裂したりすることがなければ症状を出しませんが、増大する過程で眼球を動かす動眼神経等の脳神経に圧迫が加わり、瞳孔が大きくなったり、物が二重に見えたりすることがあります。

2) 巨大動脈瘤
周囲の脳や脳神経の圧迫により、複視、視力視野障害、けいれん、運動障害、失語、嚥下障害、小脳症状等が生じ得ます。また、瘤内にできた血栓が親血管を閉塞させたり、末梢の血管を閉塞させたりすることによる、脳虚血症状が生じ得ます。

3) 解離性動脈瘤
頭痛や脳梗塞が生じます。

破裂していない脳動脈瘤を全体としてみると、1年に1%前後の確率で破裂し、くも膜下出血を生じるとされています。いつ起こったか分かる、突然の強い頭痛が生じます。いきなり昏睡状態となることもありますが、逆に比較的軽い頭痛で発症することもあり、注意が必要です。

未破裂脳動脈瘤

治療方針、治療方法、治療結果

1)嚢状動脈瘤
経過観察することの方が多いのですが、大きさが7-10mm以上の動脈瘤、細長い動脈瘤、動脈瘤の上に更に小さな膨らみが出来ている動脈瘤、椎骨脳底動脈系の動脈瘤は破裂し、くも膜下出血を起こし易いタイプであるとされ、治療の対象となります。
治療は、
開頭手術により動脈瘤の頸部に金属製のクリップをかけ、動脈瘤を遮断する方法(動脈瘤頚部クリッピング手術)

未破裂脳動脈瘤

動脈瘤の内部に柔らかいコイル状の金属を入れ、動脈瘤を閉塞させてしまう方法(動脈瘤コイル塞栓術)

未破裂脳動脈瘤

があります。どちらを選択するかは動脈瘤の形状や部位により決めます。大きな動脈瘤でなければ、治療成績は通常良好です。

2)巨大動脈瘤
動脈瘤頚部クリッピング手術もしくは動脈瘤コイル塞栓術を行いますが、バイパス手術を併用することも多くあります。

3)解離性動脈瘤
開頭術もしくは血管内手術により、動脈瘤を遮断します(トラッピング手術)。その際、バイパス手術を併用することも多くあります。

※許可を得て引用:
 1.日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜
 2.患者さん説明用スライド解説書"NO梗塞NOリターン(日本脳卒中協会, サノフィ.アベンティス社)

脳梗塞

脳梗塞とは脳の血管が閉塞し、その血管により栄養される領域の脳が壊死する病気です。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

原因

高血圧症や動脈硬化症等による脳血管の傷害や、心臓から血栓が飛んでくることにより生じる病気です。血管が閉塞し脳梗塞となります。高血圧症、糖尿病、高脂血症や心房細動のある患者様に多く発生する傾向があります。

  • アテローム血栓性脳梗塞
  • ラクナ梗塞
  • 心原性脳塞栓症

等があります。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

症状

一般に麻痺、感覚障害、言語障害、意識障害が急激に生じますが、症状が一時出現した後に改善したり、ゆっくりと症状が悪化していく場合もあり、分かりにくい場合もあります。何か異常を感じたら早めに病院を受診することが大切です。

一過性脳虚血発作イメージ

脳梗塞の原因と症状イメージ

治療方針

1)脳梗塞の急性期治療
脳梗塞の急性期は入院のうえ、t-PAによる静脈内血栓溶解療法や、カテーテルを用い血栓を除去する経皮的機械的血行再建治療をまず考慮致します。更にはグリセオールによる抗浮腫療法、エダラボンによる脳保護治療や、リハビリテーション等も行います。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

2)脳梗塞に対する予防的治療(再発防止治療)
アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞
血小板の機能を抑える抗血小板剤を内服します。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

心原性脳塞栓症
血液の凝固を抑える抗凝固剤を内服します。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

3)慢性期の全身管理
高血圧症のある患者様は、摂取する塩分の量を減らしつつ、必要な場合には降圧剤を内服する必要があります。糖尿病のある患者様は食事の量を適正にし、適度な運動を行いつつ、必要な場合にはお薬の内服やインスリンの注射を行う必要があります。高脂血症のある患者様は卵等コレステロールの多い食事を減らし適度な運動を行いつつ、必要な場合にはお薬の内服を行う必要があります。その他、肥満、喫煙は避ける必要があります。

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

脳梗塞を再発させないために(PDF/476KB)

破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)

※許可を得て引用:
 1.患者さん説明用スライド解説書"NO梗塞NOリターン(日本脳卒中協会, サノフィ.アベンティス社)
 2.患者さん説明用冊子"脳梗塞を再発させないために"(サノフィ.アベンティス社)
 3.日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜
 4.脳梗塞のタイプとその発症機序(Across)(AstraZeneca,Shionogi社)

脳および頸部の動脈閉塞
(脳主幹動脈の閉塞症・アテローム血栓性脳梗塞)

原因

動脈硬化により脳を栄養する太い血管が、頸部もしくは脳内で閉塞してしまう病気です。

脳および頸部の動脈閉塞(脳主幹動脈の閉塞症・アテローム血栓性脳梗塞)

症状

動脈硬化により狭くなった血管が閉塞してしまうことが、多く見受けられます。その過程で脳血流が全体的に低下したり、血管閉塞時にそこから分岐する細い血管も同時に閉塞することにより、脳梗塞が生じます。

治療方針、手術方法、術後経過

1)大きな脳梗塞が既に生じてしまった場合は、グリセオールによる抗浮腫療法、エダラボンによる脳保護治療を行います。

脳および頸部の動脈閉塞(脳主幹動脈の閉塞症・アテローム血栓性脳梗塞)

手術は全身麻酔により行います。大きな開頭により骨を外し脳の圧を外に逃がす、外減圧術を行います。通常は重い後遺症を残します。

2)周囲からの血流の流れ込みにより幸い小さな脳梗塞で済んだものの、脳血流量が足りず、意識や言語の障害等が残存する場合は、血行再建術を行います。

脳および頸部の動脈閉塞(脳主幹動脈の閉塞症・アテローム血栓性脳梗塞)

手術は全身麻酔により行います。頭皮の血管と脳の血管を直接繋ぐ直接的血行再建術を行います。

脳および頸部の動脈閉塞(脳主幹動脈の閉塞症・アテローム血栓性脳梗塞)

血行再建術を行った場合、不足していた脳血流が補われることによる神経症状の改善が期待できます。

※許可を得て引用:
 1.日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜
 2.脳梗塞のタイプとその発症機序(Across)(AstraZeneca,Shionogi社)

脳および頸部の動脈狭窄(頸部頚動脈狭窄症)

原因

コレステロールの沈着による動脈硬化の進行とともに、頸の部分の頚動脈の血管壁が肥厚して内腔が狭くなっていく病気です。高脂血症や糖尿病のある患者様に生じ易い傾向があります。

脳および頸部の動脈狭窄(頸部頚動脈狭窄症)

症状

狭窄が強くなっていくと血流が流れにくくなり、脳の血流が減少していきます。その際、手足の麻痺や言語機能が一時的に障害されたり脳梗塞が生じたりします。

また脆い動脈硬化病変の内部が血流によりえぐり取られ脳の方へ飛んで行ったり、更にはその潰瘍部にできた血栓が脳塞栓を起こすことにより、脳梗塞が生じることもあります。

脳および頸部の動脈狭窄(頸部頚動脈狭窄症)

治療方針

まずは血液の固まりを抑える抗血小板剤や血中コレステロールを低下させるお薬で治療していきます。1) 神経症状が出現した場合は内腔が半分以下まで狭くなった時点で、狭窄病変の治療を開始します。2) 神経症状が出現していない場合は内腔が4割もしくは2割以下まで狭くなった時点で、狭窄病変の治療を開始します。

手術方法

手術は
1)狭窄病変を風船で拡張し、金属製のステントを留置することにより再狭窄を防止する方法(ステント留置による経皮的頚部頚動脈形成術)が出現していない場合は内腔が4割もしくは2割以下まで狭くなった時点で、狭窄病変の治療を開始します。

脳および頸部の動脈狭窄(頸部頚動脈狭窄症)

2)全身麻酔下にて狭窄部位を切開し、動脈硬化病変を摘出する方法(頚部頚動脈内膜剥離術)

脳および頸部の動脈狭窄(頸部頚動脈狭窄症)

の2つがあります。

術後経過

通常、どちらの治療方法とも成績は良好ですが、方法の選択は、動脈硬化病変の性状に応じて決めます。

※許可を得て引用:
 1.日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜
 2.脳梗塞のタイプとその発症機序(Across)(AstraZeneca,Shionogi社)

脳出血

原因

脳血管の破綻がおこることにより、脳内に血液が貯留し脳出血となります。高血圧症のある患者様に多く発生する傾向があります。

脳出血

症状

一般に頭痛、吐気、麻痺、感覚障害、言語障害、意識障害等が急激に生じますが、めまい等だけの時もあり、分かりにくい場合もあります。何か異常を感じたら早めに病院を受診することが大切です。

治療方針

まずは血圧を下げることにより、血腫の増大をなるべく防止するようにします。血腫が小さい場合は点滴で治療します。血腫が大きく神経症状が重篤な場合は、開頭による血腫除去、もしくは穿頭術下の内視鏡を用いた血腫除去を行います。いずれにしても、リハビリテーションは極めて重要です。

治療経過

小さな出血の場合は神経症状を残さずに治る場合がありますが、大きな出血の場合は重篤な後遺症を残し得ます。

慢性期の全身管理

高血圧症のある患者様は降圧剤を内服し、かつ摂取する塩分の量を減らす必要があります。肝臓病、腎臓病は脳出血の重大な危険因子ですので、血液の固まりを抑えるお薬を服用する場合は、専門医に十分に相談する必要があります。

※許可を得て引用:
 1.患者さん説明用スライド解説書"NO梗塞NOリターン(日本脳卒中協会, サノフィ.アベンティス社)

脳動静脈奇形

原因

胎生早期での脳血管の発生過程で、動脈と静脈が毛細管を介することなく、直接に吻合してしまうことが原因です。血管抵抗の高い毛細管が介在しないため、多量の血液が脳動静脈奇形内を流れてしまいます。

脳動静脈奇形

症状

脳動静脈奇形内の弱い静脈が破裂することにより、脳実質内出血、くも膜下出血や脳室内出血を生じることがあり、その場合は頭痛や麻痺、意識障害等が生じます。また、脳動静脈奇形は周囲の正常な脳を栄養すべき血液を盗血してしまうため、周辺脳の脳血流が減少し、けいれん発作を生じることもあります。

治療方針

神経症状が無い患者様の場合は、経過観察となることが多くあります。出血やけいれん発作を生じた場合は、治療も考慮します。

治療方法

多くの場合治療は、脳の血管の中に細いカテーテルを入れ塞栓物質を流し込み、脳動静脈奇形を閉塞させる治療から開始されます。しかしながら完全に閉塞させることは困難ですので、残存部分を手術で摘出したり、放射線を局所的に照射することによりゆっくり閉塞させる治療を行ったりします。

治療経過

脳の比較的症状を出しにくい部位の脳動静脈奇形の閉塞、摘出に関する治療成績は比較的良好です。脳実質内出血等にて発症し、麻痺等の症状を生じてしまった場合は、重い後遺症が残り得ます。

※許可を得て引用:
 日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜

モヤモヤ病(ウイリス動脈輪閉塞症)

原因

小児期より脳の太い動脈が徐々に狭くなり、ついには閉塞してしまう原因不明の病気です。血管病変は内頚動脈系より始まり、最終的に椎骨脳底動脈系にまで進行します。

モヤモヤ病(ウイリス動脈輪閉塞症)

症状

脳血流量は基本的に減少します。呼吸回数が増え体内の二酸化炭素濃度が減少することにより、脳血管が一時的に収縮すると脳血流量が低下し、麻痺や言語障害等の神経症状が一時的に出現したり、脳梗塞となったりします。その他、頭痛、不随意運動を生じることもあります。成人になり、脳の太い血管が狭窄したり閉塞したりするとともに、もやもやとした細い側副血管が発達してきますが、この弱い側副血管や併発する小さな動脈瘤が破綻することにより、脳出血を生じるようになります。

治療方針、手術方法、治療経過

1)脳血流が足りず脳梗塞の恐れのある小児では、脳血流を増加させるための直接的及び間接的血行再建術を行います。手術は全身麻酔により行います。頭皮の血管と脳の血管を直接繋ぐ直接的血行再建術と、頭部の筋肉等を脳の表面に置き、自然に側副血管が発達してくることを期待する間接的血行再建術を併用します。

モヤモヤ病(ウイリス動脈輪閉塞症)

通常、術後の側副血管の発達は良好で、症状は改善傾向となります。

2)虚血症状にて発症した成人例でも、このような血行再建術を考慮します。手術で血行再建を行うことにより、弱い側副血管が減少し、ひいては脳出血を起こす可能性が減少する効果があることは、ある程度推定されています。

※許可を得て引用:
 日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜