診療科・部門

感染症管理センター

概要

院長のもと院内感染対策委員会を諮問機関とし院内感染の発生防止に取り組んでいます。
センターの主な業務は、国内外の感染症の流行状況をいち早く察知し事前対策を講じることにあります。結核、麻疹、インフルエンザ、HIVなど既知の感染症から、新型コロナウイルス感染症などの新しい感染症にも対応しなければなりません。そのため世界保健機構(WHO)、米国疾病管理予防センター(CDC)、厚生労働省、学会などから最新情報を収集しています。
一方、病院には高齢者や新生児、免疫抑制状態で感染しやすい患者が大勢います。これらの方々は”弱毒性病原体”によって肺炎や尿路感染などの日和見感染を起こします。侵襲性の高い処置(手術やカテーテルの挿入)を受けた場合も感染しやすくなります。
当センターは、基本的な感染対策からマニュアルの徹底まで様々な感染防止策を行います。このように院内感染を未然に防ぐことも重要な役割と認識しています。

特色・機能

病院内を組織横断的にかかわる組織として活動しています。ICD(インフェクションコントロールドクター)や抗菌化学療法認定薬剤師、感染管理認定看護師など専門の資格を取得したスタッフが在席しています。
センター長は、感染対策委員会、ICT(インフェクションコントロールチーム)、AST(抗菌薬適正使用支援チーム)の統括責任者として病院感染対策の方針や策定に携わっています。薬剤師、臨床検査技師はASTの中心になり活躍し、看護師は、看護局が運営する看護感染コントロール委員会に参画し感染対策リンクナース(役割モデルである看護師)の育成も担っています。
専門資格を持ったスタッフは、感染症管理センターだけでなく、ICT活動においてもなくてはならない存在として活躍しています。

感染症管理センターは次の機能を持っています。
●配信機能 病院や委員会の決定を院内に広報する
●調整機能 関連部署と協議し実現可能な具体策にする
●実行機能 ICTを実働させ実行に移す
これらを円滑に機能させることで病院全体が感染症に立ち向かうことができます。感染症管理センターは患者にとって安心な医療を考え、感染対策の質を常に向上させていきたいと考えています。

業務紹介

体制

センター長村松 幹司(副院長)
副センター長牧野 靖(ICD)
専従職員6名看護師3名(感染症管理認定看護師2名)
抗菌化学療法認定薬剤師1名
事務アルバイト2名
兼務職員1名臨床検査技師1名

業務内容

院内感染防止対策の関する実働組織。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師(感染制御認定臨床微生物検査技師)、理学療法師、事務職で構成されています。専門性を生かし、院内感染発生状況、職員の感染防止対策の実施状況などの把握を行い、具体的な提案・実行・評価をする役割を担います。

  • 院内感染対策事例の把握をしています
  • 院内感染防止対策の実施状況とその対策の指導をしています
  • 院内感染発生状況のサーベイランスの情報分析、評価と感染対策の立案をしています
  • 院内における患者への抗菌薬の適切な使用を推進しています
  • アウトブレイク発生時は対策を講じています
  • 院内感染対策マニュアルの見直し、職員の遵守状況の把握と指導をしています
  • コンサルテーション、研修など、職員の教育の実施あるいは推奨をしています
  • ファシリティーマネジメントに関することに関わります
  • 定期的なカンファレンスや巡回の実施をしています
  • 地域の病院、医療施設からの感染対策に関する相談があれば応需しています

抗菌薬の不適切な使用は、治療効果が減弱する可能性があるだけでなく、副作用の発現や細菌の薬剤耐性(抗菌薬が効かない菌が増える)にもつながります。ASTは医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師で構成され、抗菌薬が適切に使用されるよう各診療科の医師と連携して感染症治療のサポートをしています。

  • 広域抗菌薬等の特定の抗菌薬を使用している患者や血液培養陽性患者等の特定の患者に対して感染症治療のモニタリングを行っています
  • 抗菌薬選択や用法用量等の抗菌薬使用に関するアドバイスを適宜行っています
  • 抗菌薬の使用量や薬剤耐性菌の検出率を定期的に評価し、活動内容を見直すとともに院内にフィードバックしています
  • 抗菌薬使用に関する院内ガイドラインを作成し定期的に改訂しています
  • 抗菌薬適正使用に関する院内講習会を定期的に開催していきます
  • 地域の病院と連携して抗菌薬適正使用を推進していきます
  • 地域の病院からの感染症治療に関する相談があれば応需していきます

感染対策に関する基本的な考え方及び具体的な対策の周知徹底、および感染対策に関する意識向上を図り、職員全員で組織的な院内感染対策に取り組むため研修を行っています。

  • 全職員を対象とした院内感染対策に関した研修を年2回以上実施するこれらの研修は、院内感染対策に必要な教育をしています
  • 全職員を対象とした院内感染対策に関する研修では、同一内容で複数回実施や録画データなどで不参加者にも追加講習が受けられるよう努めています
  • 職種別、部署別の研修、コンサルテーション、現場介入などによる教育を必要に応じて実施しています

薬剤耐性菌による感染症や市中感染症等の院内感染防止のため、院内で発生した感染症の発生状況や原因に対するデータを、継続的、組織的に収集して的確な感染対策を実施できるよう各種サーベイランスを実施します。

  • MRSAなどの耐性菌のサーベイランス
  • 伝播力が強く院内感染対策上問題となる各種感染症のサーベイランス
  • 外来・入院病棟におけるインフルエンザ迅速検査数及び陽性者のサーベイランス
  • 外来・入院病棟におけるCOVID-19陽性者のサーベイランス
  • カテーテル関連血流感染・尿道留置カテーテル関連尿路感染・人工呼吸器関連肺炎・手術部位感染などの対象限定サーベイランス
  • 厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)に参加し、院内の状況を報告するとともに、JANISからフィードバックされた参加施設の還元情報を活用

  • 各種サーベイランスをもとに、院内感染のアウトブレイクあるいは、異常発生をいち早く特定し、制圧の初動体制を含め迅速な対応がなされるよう、感染にかかわる情報管理を適切に行います
  • 検査室と連携し、検体からの検出菌の薬剤感受性パターンなどの分析を行い、ICTおよび臨床側にフィードバックします
  • アウトブレイクあるいは異常発生時には、その状況及び患者への対応等を病院長に報告し、必要に応じて院内感染対策委員会とともにすみやかに発生原因の究明と改善策を立案、実施するために職員に周知徹底を図ります
  • 報告を義務付けられている感染症が特定された場合には、速やかに保健所に報告を行います

連携する医療施設、保健所、医師会との年4回以上の合同カンファレンスや訪問指導、年1回以上の相互訪問評価活動などを実施し、地域医療機関との連携を行っています。また、介護保険施設等の依頼に応じて感染対策に関する助言や感染対策研修を行う体制を整え、地域に求められる感染対策の質向上を図っています。

感染対策講習会

開催日講演テーマ
令和6年2月15日1)「大切さを知ろう!血液培養」-抗菌薬の適正使用に向けて-
2)「これ以上広げない!薬剤耐性菌」-身近に潜んでいた悪夢の耐性菌-
令和5年8月17日1)ICT活動からわかってきたこと
2)抗菌薬の適正使用について
令和5年3月7日手指衛生の重要性
令和4年11月17日肺結核の現状と今後の課題について
令和3年11月18日With & After コロナの感染対策
令和3年5月20日ぜひ知っておきたいワクチンの知識

現在実施中の臨床研究

豊橋市民病院感染症管理センターでは、以下の臨床研究を実施しています。

更新日:2024年07月03日

管理番号
824
院内代表者名
村松幹司
研究の対象
CRE(カルバペネム耐性腸内細菌目細菌)感染症患者
(オプトアウト:公開文書参照)
開始日
2024/07/03
終了予定日
2025/03/31

スタッフ

出身大学
名古屋市立大学大学院
指導医
  • 日本小児科学会小児科認定指導医
  • 日本周産期・新生児医学会指導医
  • 臨床研修指導医
専門医
  • 日本小児科学会専門医
  • 日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医
  • 臨床遺伝専門医
その他
  • DMAT隊員養成研修修了
  • 新生児蘇生法「専門コース」インストラクター認定
  • 出生前コンサルト小児科医
出身大学
名古屋大学
指導医
  • 日本呼吸器学会呼吸器指導医
  • 臨床研修指導医
  • 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡指導医
専門医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本アレルギー学会アレルギー専門医(内科)
  • 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
  • 日本呼吸器学会呼吸器専門医
  • 日本医師会認定産業医
その他
  • 日本医師会認定産業医
  • 医学博士(名古屋大学)