NURSING STORY
三次救急を抱える病院で働く
豊橋市民病院の看護師たち。
やさしくつよくしなやかに毎日戦う
看護のプロフェッショナルたちの
「その先」とは。
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STORY 01
“患者さん”ではなく
“一人の人”として
2016年入職
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STORY 02
患者さんの
可能性を信じて
2013年入職
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STORY 03
個別性のある看護で
患者さんと向き合う
2008年入職
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STORY 04
不安や弱音を
いつでも表出できる場所を
2009年入職
STORY 01
“患者さん”ではなく
“一人の人”として
2016年入職
ご家族も含めた
“看護”の必要性
ある日、患者さんのもとへ訪室すると「今娘に電話して、大好きな看護師が体を動かしてくれて、花火をみせてくれて嬉しかったと話したところだよ」と言ってくれました。ご家族が患者さんのことを大事にしているように、患者さんもご家族のことを大事にしているため、ご家族も含めた“看護”を行う必要性を学びました。そのため、患者さんのご家族へも積極的に声掛けを行い、患者さんご本人もそのご家族も、この病院で大切に思われていると実感できるような関わりをしていき、言葉で伝えていくことが大切だと思っています。“患者さん”ではなく“一人の人”としてみて、好きなことや入院前何をしていたのかなど、豊かなコミュニケーションをとるようにしています。
「担当があなたでよかった」と
言ってもらえるように
先輩看護師から「患者さんに“今必要なこと”をすることの意味」を教えてもらいました。ある時、入退院を繰り返していた患者さんの状態が悪化し、意思疎通がうまく図れなくなったことがありました。どう関わっていくのがいいんだろうと悩みましたが、何か行動に移す前にその患者さんは転院となり、しばらくもやもやが残っていました。そのときに先輩から、自分は今何をすべきか、何を必要とされているかを考えながら関わることの大切さを教えてもらいました。「担当があなたでよかった」と言ってもらえるように、その患者さんを担当することに責任を持ち、自分のできる精一杯の看護をすることが大事だと思っています。
STORY 02
患者さんの
可能性を
信じて
2013年入職
幅広い視野で
患者さんへの看護を
考える
現在私が勤務している小児科病棟では、疾患だけでなく子どもの発達に合わせた援助が必要とされています。また、在宅移行に向けた指導や母子の愛着形成、授乳支援など幅広い看護を実践しています。その中で、病気の影響から自分で座ることも食べることもできなくなった患者さんを受け持ったことがあります。その患者さんは、医学的に回復は難しいと思われたのですが、ご家族の希望でリハビリを続けたところ、失った機能を取り戻して退院することができました。その時、医療者の視点と患者さんやご家族の視点が必ずしも同じでないことに気付きました。その経験から、患者さんやご家族の思いや希望を知るとともに、患者さんの可能性を信じて看護をしていきたいと考えるようになりました。
「自分の普通・常識」を押し付けない
後輩指導
私が後輩指導で心掛けていることは、「自分の普通・常識」を押し付けないことです。経験を積むと「常識だ」と感じている部分が多くなり、自分の中の普通を押し付けてしまう瞬間が出てきてしまうと感じました。その経験から、「自分の普通・常識」を押し付けないことや、相手に理解してもらうために自分の言い方や指導を変えて接することに気を付けています。後輩看護師が自分で考えて行動できた時や、「患者さんが喜んでくれました」と報告してくれた時は、成長を感じて私も一緒に嬉しくなりました。これからは、患者さんやご家族が安心して相談ができるように、小児科以外の部署でも経験を積んでスキルアップし、さらに自信を持って看護できるようにしたいです。
STORY 03
個別性のある
看護で
患者さんと
向き合う
2008年入職
他部署との連携で退院後の生活を見据える
私が以前所属していた救急外来では、患者さんの看護を行うのはほんの一場面でしかありませんでした。しかし、患者さんの先を見据えた看護を行う上では、病棟看護師へしっかりとバトンタッチし、退院まで繋げていくことが必要となります。患者さん自身は、発症後すぐに退院後の生活に目を向けることは困難かと思いますので、看護師だからこその視点で対応していくことが求められます。そこで、私は救急外来と入退院支援センターと連携に力を入れ、病院スタッフが一丸となって、患者さんの退院後の生活を見据えた入院生活をサポートできるよう取り組みました。
災害派遣医療チームの一員として
私が救急外来に配属されて2年半後に東日本大震災が起こり、自分が何の手助けもできないことにもどかしさを感じました。それをきっかけにDMAT(災害派遣医療チーム)隊員になることを目指しました。より知識を増やすためにDMATインストラクターも取得し、実災害にも対応しました。被災した中で必死に対応をする医療スタッフを目の当たりにし、少しでも自分にできることをしたいと思い任務にあたりました。DMATの経験を通して、数値だけに頼らずに自分の直感や五感で感じたことから患者さんの危険な兆候をいち早く見つけ、臨機応変に対応することが重要だと考えるようになりました。必ずこうしなければいけない、というルールに則って行うのではなく、何故こうしているのか、理由を考えて看護を行うことが患者さんごとの個別性のある看護にも繋がると思います。
STORY 04
不安や弱音を
いつでも
表出
できる場所を
2009年入職
揺れ動く気持ちに寄り添い続ける
ある時、入退院支援で関わった患者さんとその奥様が、療養先をご自宅と転院とで悩まれていました。何度も面談を行い、退院前のカンファレンスでご自宅と決定しました。退院1か月後ご自宅を訪問してみると、ご本人は楽しそうに笑顔で過ごされており、奥様も不安を感じていらっしゃった介護や医療行為についても、しっかり行えている姿を見ることができました。人の気持ちは揺れ動くものなので、一度決意したことも次の日には不安になり、また気持ちが揺らぐこともあります。退院前カンファレンスでは、それを理解しながら、患者さんやご家族の気持ちと向き合い、不安や弱音をいつでも表出できる場所をつくることが大切だと考えています。
患者さんの人生を考える看護を
私が日々心掛けていることは「患者さんの言葉をよく聞き、表情や言動をよく観察すること」「患者さんの人生において大切なこと、その人の生き方など、できる範囲で知ろうとし理解すること」「患者さん、ご家族を否定しない」ことです。病棟看護師と地域の方と連携して退院調整するこの部署に異動して、さらに退院後の患者さんの生活を考えた看護の大切さを理解しました。退院後訪問をした際に患者さんが「自宅はやっぱりいい」と言って笑顔で過ごされているのを見たときにとてもやりがいを感じます。入院はその人の人生の点でしかないため、短期間ではありますがその患者さんの全体像をつかみ退院後の生活を踏まえた看護ができるような看護師でいたいと思います。