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脳神経外科「主な対象疾患の説明」7

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痙縮

原因

脳血管障害、脊髄疾患等により、上位中枢からの抑制が減少し、脊髄での反射が亢進することが原因です。手足の筋肉の緊張が高まった状態となります。

症状

手足の筋肉の硬直が生じ、動きにくくなります。

痙縮

治療方針、治療方法、術後経過

まずは筋肉の緊張を抑える薬の内服にて様子を見ます。

1)緊張が亢進した筋肉の数が多くない時は、神経筋接合部におけるアセチルコリン放出を抑制するA型ボツリヌス毒素という、筋肉の収縮を抑える薬を筋肉内に局所注射することにより治療します。

痙縮

A型ボツリヌス毒素の筋肉注射は通常有効ですが、比較的限られた数の筋肉内にしか注射することができません。また3-4ヶ月に一度の注射を繰り返す必要があります。

2)全身の筋肉の緊張が高まっている時は、抑制性に作用するGABA-Bレセプターを刺激するバクロフェンという薬を、脳や脊髄を包む脳脊髄液の中に少量ずつ注入することにより治療します。まずは腰椎穿刺にてバクロフェンを髄腔内に一時的に注入して効果を確認します。筋緊張が和らいだ場合には、ポンプ及びカテーテルの埋め込み手術を全身麻酔下に行います。

痙縮の治療等(PDF/680KB)

バクロフェンの髄腔内持続投与も通常有効ですが、やはり、3-4ヶ月に一度の薬液補充を外来にて行う必要があります。

※許可を得て引用:
1.ボトックスのパンフレット(グラクソ.スミスクライン社)
2.バクロフェンの髄腔内投与の資料(第一三共株式会社)

難治性疼痛(神経障害性疼痛)

原因

脳、脊髄、末梢神経の損傷や機能異常により、痛覚等の中枢への伝達が途絶され、その上位の神経系に機能的、可塑的変化が生じることにより生じます。視床痛などの脳卒中後疼痛、脊髄損傷後疼痛、脊髄空洞症に伴う疼痛、幻肢痛、末梢神経損傷後の疼痛などが含まれます。

症状

感覚鈍麻と、軽度の刺激で誘発される、不快な異常感覚を伴った疼痛を生じます。

治療方針

まずは痛みどめ、うつ病の薬、弱い麻薬系薬剤の内服にて様子を見ます。お薬にても疼痛が収まらない時は、脊髄を弱い電気で刺激する脊髄刺激術も考慮します。

難治性疼痛イメージ写真
難治性疼痛治療方法イメージ

脊髄刺激療法ハンドブック(PDF/2,782KB)

手術方法

腰部もしくは頸部の背側を穿刺することにより、脊髄を包む硬膜という膜の外側に刺激電極を一時的に留置します。電気刺激のテストにて痛みが和らいだ場合には、刺激装置の腹部への埋め込み手術を全身麻酔下に行います。

難治性疼痛

術後経過

通常、完全ではないものの疼痛の部分的な改善が得られます。電池切れが生じますので、5-6年に一度の刺激装置の交換を手術にて行う必要があります。

難治性疼痛

※許可を得て引用:
1.脊髄刺激装置の日本メドトロニック(株)パンフレット
2.患者様説明用パンフレット"脊髄刺激療法ハンドブック"(日本メドトロニック社)

頭痛

はじめに

くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、動脈解離、脳腫瘍、外傷後頭蓋内血腫、脳炎、髄膜炎等の感染症、血管炎、神経サルコイドーシス等の非感染性炎症疾患、代謝性疾患、低髄液圧症候群、急性鼻副鼻腔炎等の耳鼻咽喉科領域の頭痛、顎関節症等の歯科領域の頭痛、緑内障、斜視、屈折異常等眼科領域の頭痛、頚部の運動や圧迫により誘発される頚原性頭痛、うつ病やその他の精神疾患による頭痛等、原疾患に伴う二次性の頭痛と、上記のような原因を伴わない、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛等の一次性の頭痛があります。

頭痛

二次性の頭痛のうち、くも膜下出血では始まりがはっきりと分かる突然の頭痛を、脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、慢性硬膜下血腫では継続する吐気を伴う頭痛を、髄膜炎では発熱や頚部が固くなる等の症状を伴う頭痛を、低髄液圧症候群では立ったり座ったりする時に痛くなり横になると楽になる頭痛を生じます。二次性の頭痛では原疾患の治療が必須であるため、まず二次性の頭痛をしっかりと除外することが重要です。
尚低髄液圧症候群では、脳や脊髄周囲の脳脊髄液を包む膜(硬膜)の破れた場所に、自分の血液を注入する、ブラッドパッチという治療を行います。

原因、症状、治療方針、予防

1)片頭痛
血管拡張性神経伝達物質が関与したり、神経細胞活動の広汎な変調が生じたりすることにより起こると言われています。月経時に増悪することも多く、エストロゲン(女性ホルモン)の低下が頭痛に関与しているとされています。

頭痛

視野の片方がちかちかしたり、逆に見えなくなったりする等の症状に引き続く、頭部のずきずきする拍動性の痛みを感じます。悪心、光や音に対する過敏を伴うことが多くありますし、動作により痛みが増強します。頭痛発作中に拡張した血管を収縮させる薬剤であるトリプタンの内服、もしくは速く効かせたい場合には皮下注射、鼻腔内投与にて治療しますが、頭痛の起こり始めにタイミング良く使用することが大切です。頭痛頻度が増えた場合や薬剤の使用過多による頭痛が疑われる時は、頭痛予防薬の内服が勧められます。抗てんかん薬(バルプロ酸)、カルシウム拮抗薬(ロメリジン)、抗うつ剤(アミトリプチリン)、交感神経の機能を抑える薬(プロプラノロール)が用いられます。赤ワイン、チーズ、チョコレート、ナッツ等が誘因となることもありますので、食生活を振り返ることも重要です。
妊娠中の片頭痛発作を抑える薬としては、安全性は確立されていないものの、鎮痛剤(アセトアミノフェン)が推奨されます。トリプタンの安全性も確立されていませんが、妊娠初期の使用での胎児奇形発生率の増加は報告されていません。予防薬の中では、抗てんかん薬(バルプロ酸)は胎児の催奇形性がやや高めで、子供の認知機能低下が比較的生じやすく、服用を避けた方が良いとされています。他の予防薬の使用も推奨されませんが、しいて言えば、交感神経の機能を抑える薬(プロプラノロール)の使用が可能と考えます(添付文書上、プロプラノロールの妊娠中の使用は緊急の必要時以外は望ましくない、となっています)。授乳中の女性がトリプタン系の薬剤であるスマトリプタンを使用した場合は、その後12時間授乳をさけることとされています。

2)緊張型頭痛は筋肉や筋膜に痛覚過敏が生じて起こると言われています。頭部が圧迫され締め付けられる様な痛みを感じます。通常、鎮痛剤や筋肉をほぐす薬を内服しますが、抗不安薬や抗うつ薬も内服する場合があります。頭痛頻度が増えた場合や薬剤の使用過多による頭痛が疑われる時は、頭痛予防薬として抗うつ剤(アミトリプチリン)の内服が勧められます。

3)群発頭痛は、視床下部や海綿静脈洞近傍の異常により生じるとされます。眼窩部の強い痛み等が長時間続き、流涙、結膜充血、鼻汁分泌等の自律神経症状を伴います。トリプタン系の薬剤であるスマトリプタンにて治療致します。頭痛頻度が増えた場合や薬剤の使用過多による頭痛が疑われる時は、頭痛予防薬としてカルシウム拮抗薬(ベラパミル)の内服が勧められます。

4)頭痛発作時の治療に用いる、トリプタン、鎮痛剤の内服は漫然と続けるべきではありません。薬剤の使用過多による頭痛が生じるからです。薬剤の使用過多による頭痛が生じてきた方は、薬を増量するのではなく、頭痛薬をむしろ減らし、頭痛予防薬を内服することが勧められます。

頭痛

5)その他の治療法
上肢をリラックスして体幹を回旋させる頭痛体操や、鍼灸、呉茱萸湯、五苓散、釣藤散、葛根湯等の漢方治療、頭痛日記に基く認知行動療法等も有効である可能性があります。適度な運動をして、ストレスを貯めないようにする事も大切です。
小児の頭痛は、心理社会的要因が絡むと持続性頭痛へ変容しやすいので、患児の性格特性や生活環境への配慮が必要ですし、認知行動療法も有効です。

頭痛

※許可を得て引用:
日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜

低髄液圧症候群

原因

脳脊髄腔から脳脊髄液が漏れ出ることにより脳脊髄液が減少し、症状が出現します。

症状

座ったり立ったりした時に、頭痛、頸部痛、倦怠感、易疲労感等が生じます。

診断

造影剤を静脈注射して撮影する頭部MRIで、脳表面の硬膜が全体的にやや厚めに造影されるかどうかで、スクリーニングを行います。もしくは、MRIを用いた脊髄造影、T1,T2強調画像(脂肪抑制併用)で、髄液の漏出があるかどうかを検査します。髄液の漏出がかなり疑わしい場合は更に、脳槽シンチグラフィー等の検査を追加することも考えます。

治療方法

髄液の漏出がある場合は、自分の血液を数ml硬膜外に注入するブラッドパッチ療法を、短期間の入院にて行います。

治療経過

髄液の漏出がある場所に確実に自分の血液が注入された場合は、座ったり立ったりした時に生じる頭痛、頸部痛が治りますが、治りが悪い場合や再発等もあり得ます。

記:
先進医療(先―211)第5号、硬膜外自家血注入療法 取得
日本脳神経外傷学会の診断基準に準拠して、診断、治療を行います。
毎週木曜日の午後3時から3時30分までの枠で、雄山医師の予約外来にて診察します。ご希望の方は、午後に脳神経外科外来にお電話下さい。