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脳神経外科「主な対象疾患の説明」5

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頚椎症(頚部脊椎症)

原因

加齢等に伴っての椎間板の変性による頸椎の骨軟骨性隆起の結果、骨棘が生じ、脊髄やそこから分枝する神経を圧迫して、神経症状を出します。高齢者に多い病気です。

頚椎症

症状

神経根刺激症状として、上肢へと放散する鈍痛や痺れが出現します。脊髄症状としては、上下肢の痺れ、手の巧緻運動障害、痙性歩行を呈します。その他、椎骨脳底動脈循環不全症(頸を曲げた時のめまいや四肢麻痺)、肩や上腕の筋委縮や脱力を生じることもあります。

治療方針

手足の痺れ(痛さ)のみの時はお薬で様子を見ることが多いのですが、運動の障害が出た時は、なるべく早く手術を受けることが望ましいと考えます。

手術方法

手術は全身麻酔により行います。1-2椎間の比較的病変の範囲が狭い時は、前方から椎間板及び骨棘を削除し固定する、前方除圧固定術を行います。

頚椎症

それ以上の広い範囲に病変がある場合は、後方から脊髄を除圧する椎弓形成術を行います。

頚椎症

術後経過

通常、手術後症状は改善します。手術2-3日後から歩行が可能となりますが、手術後1-3ヶ月間は頸椎カラーを装着します。

※許可を得て引用:
1.日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜
2.骨補填材料のパンフレット(PENTAX社)

頸椎ヘルニア(頚椎椎間板ヘルニア)

原因

加齢や外傷等に伴う椎間板の変性に伴い、外層の線維輪の断裂が生じ、内部の髄核が外方に転位することにより生じます。

頸椎ヘルニアイメージイラスト

頸椎ヘルニアレントゲン写真

症状

1)神経根刺激症
上肢へ放散する激烈な痛みを生じます。

2)脊髄症
手足の末梢側から中枢側にかけての痺れや運動障害を生じます。数日から数週で急激に症状が悪化することがあります。

治療方針、手術方法、術後経過

1)神経根刺激症
筋弛緩剤や鎮痛剤を内服しつつ、頚部の軟性コルセット装着等安静を保つことで、2-3週で神経症状は軽快に向かいます。

2)脊髄症
神経症状の回復の悪い場合は、手術により脱出したヘルニアを除去し、脊髄や神経根を除圧する必要があります。
手術は全身麻酔により、主として前頚部を切開して行います。前方から椎間板を切除し、脊髄や神経根を除圧した後、自家骨もしくは人工骨で固定します(前方除圧固定術)。
通常、手術後症状は改善します。手術2-3日後から歩行が可能となりますが、骨が完全に癒合するまでの3ヶ月間は頸椎カラーを装着する必要があります。

※許可を得て引用:
 日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜

後縦靭帯骨化症(頸椎後縦靭帯骨化症)

原因

頸椎の椎体の後方を固定する靭帯(後縦靭帯)がゆっくりと骨化し、脊髄を圧迫する病気です。東洋人に多く発生しますが、原因不明です。

後縦靭帯骨化症

症状

骨化病変は徐々に厚くなるため、通常は脊髄がかなり強く圧迫されるまで神経症状を出しません。ある一定限度以上に圧迫されると、手足の痺れ、麻痺が進行します。椎間板ヘルニアの合併や、転倒等で脊髄に急に外力が加わることにより、非常に強い神経症状が生じえます。

治療方針

軽度の痺れ(痛さ)のみの症状の時は、痛み止め等のお薬で治療しますが、運動障害の出現等神経症状が進行する時は、なるべく早急に手術をすることが望ましいと考えます。

手術方法

手術は全身麻酔により行います。通常は広範囲に病変がありますので、後方から脊髄を除圧する椎弓形成術が選択されることが多いのですが、症状によっては前方から骨化病変を切除する前方除圧固定術も選択します。

後縦靭帯骨化症

術後経過

症状が進行していなければ、手術成績は良好です。術後2-3日後から歩行が可能ですが、1-3ヶ月間頸椎カラーを装着する必要があります。
その他、脊柱管の後方にある黄色靭帯が骨化する病気が合併することもあり、注意が必要です。

※許可を得て引用:
1.日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜:一部改変
2.骨補填材料のパンフレット(PENTAX社)

脊髄腫瘍

原因

癌の脊椎椎体等への転移性腫瘍(A)、脊髄から出る感覚神経にできる神経鞘腫(B)、脊髄を包む脳脊髄液の膜(くも膜)に発生する髄膜腫(B)、脊髄の中にできる上衣腫や神経膠腫(C)等があります。

脊髄腫瘍

症状、治療方針、手術方法、術後経過

A)
転移性脊髄腫瘍は、体の他の部位の悪性腫瘍が椎体、椎弓根部へと転移し、更には硬膜外へと進展することにより、脊髄や神経根を圧迫して症状を呈します。最初は疼痛で発症しますが、増大とともに上下肢の麻痺、感覚障害、直腸膀胱障害等が急激に生じてきます。

脊髄腫瘍

疼痛のみを呈する場合は放射線照射にて治療が可能ですが、神経症状を呈する場合は緊急の腫瘍摘出による脊髄の除圧が必要です。 手術は全身麻酔により行います。主として後方から椎弓を開いた後、神経の機能をモニターしながら、神経症状を増悪させないよう腫瘍を摘出します。
手術時の固定術や、術後の放射線照射や化学療法を必要とする場合があります。

B)
神経鞘腫や髄膜腫は良性腫瘍であることがほとんどであり、ゆっくり増大するためある程度の大きさになるまで神経症状が出にくいのですが、大きくなるに従い神経痛や、手足の麻痺が生じることとなります。症状がある場合は腫瘍摘出を考慮します。
手術は全身麻酔により行います。主として後方から椎弓を開いた後、神経の機能をモニターしながら、神経症状を増悪させないよう腫瘍を摘出します。

症状が進行していなければ手術成績は良好です。

C)
上衣腫は極めてゆっくりと発育する腫瘍であり、症状は非典型的です。神経膠腫では下行性に広がる感覚障害が特徴的であり、痛覚や温度覚は障害されますが、深部感覚は残存する傾向にあります。また、発汗障害も生じます。進行とともに麻痺も出現してきます。

脊髄腫瘍

治療方針としては、腫瘍摘出を考慮します。
手術は全身麻酔により行います。主として後方から椎弓を開いた後、神経の機能をモニターしながら、神経症状を増悪させないよう腫瘍を摘出します。
術後後遺症を残す可能性があります。

※許可を得て引用:
1.日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜
2.骨補填材料のパンフレット(PENTAX社)

脊髄空洞症

原因

後頭蓋窩の狭小化を生じるキアリーI型奇形、脊髄周囲の脳脊髄液の膜(くも膜)が脊髄に癒着してしまう癒着性くも膜炎、脊髄腫瘍やくも膜嚢胞等の占拠性病変、等に伴う脳脊髄液の循環障害により発生します。脊髄の外傷や出血等、脊髄自体への損傷によっても発生します。脊髄の中に、大きな空洞が生じることとなります。

脊髄空洞症

症状

下肢の硬直感、上肢や頚部の痛み、上肢の痺れ等の症状を出します。また側彎も生じてきます。

治療方針

神経症状を出していない場合や空洞が小さい場合は経過観察とします。神経症状を出している場合は、痺れ痛さを抑える薬の内服に加え、脳脊髄液の循環を改善させる治療も考えます。

手術方法

手術は全身麻酔により行います。キアリー奇形の場合は、まず大後頭孔の減圧術を行います。癒着性くも膜炎、占拠性病変に伴う空洞症の場合には、後方から椎弓を開き、占拠性病変があればそれを除去した後、神経の機能をモニターしながら、空洞とくも膜下腔をシャントチューブでつなぐ手術を行います。更に、病変部の上下のくも膜下腔をシャントチューブでつなぐことも行います。

術後経過

通常、手術により空洞は縮小します。運動障害は割と改善し易いのですが、空洞形成により既に生じた感覚障害は改善しにくい傾向にあります。

※許可を得て引用:
 日本脳神経外科学会ホームページより脳外科疾患情報ページの図譜