診療科・部門

移植外科

診療科のご案内

慢性腎臓病(慢性腎不全)患者さんに対する腎代替療法の外科手術および術後フォローアップを担当している診療科です。また肝臓移植後、膵臓移植後の患者さんの術後フォローアップも担当しています。三河地域において唯一の献腎移植登録施設です。他の地域で移植されて三河地域にお住まいの患者さんに対するフォローアップも受け入れており、毎年その外来患者数は増加しています。また日本でもトップクラスの実績を誇る日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院・移植外科と連携して診療を行っています。
副甲状腺機能亢進症に関わる外科的手術も行っています。当グループ(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院グループ)では長期透析患者さんに特有な続発性副甲状腺機能亢進症に対して、3000例以上の手術症例を経験してきました。甲状腺の手術は多くの施設で行われていますが、副甲状腺の手術は専門性が高く、手術症例が少なく専門性を維持することも困難なことから、手術を行っている施設は限られています。

外来担当医表

移植後フォローアップ外来
献腎移植登録外来
午前長坂長坂長坂長坂長坂
午後長坂長坂長坂長坂長坂

代表的な疾患・治療

腎代替療法には、血液透析や腹膜透析などの透析療法、生体腎移植や献腎移植などの腎移植療法があります。血液透析をご希望の方にはシャント造設手術、腹膜透析の方には腹膜透析用カテーテルを腹腔内に留置する手術、また移植希望の方には腎移植手術などの外科的手術を担当します。シャント血流不全や腹膜透析の透析不全症例に対しても、その修復手術などを行っています。
副甲状腺は甲状腺周囲に最低でも4腺が局在しており、副甲状腺ホルモンを分泌しています。人体の中で一番小さな臓器といってもいいでしょう。1腺でも腫大してくると(原発性副甲状腺機能亢進症)、血中の副甲状腺ホルモンが上昇して、血清カルシウム高値・血清リン低値を示します。放置しておくと、食欲低下・易疲労・筋力低下・皮膚の痒み・口渇・多飲多尿・不眠・骨関節痛などの他、精神症状(イライラ感、物忘れ、認知症に近い状態)や骨粗鬆症に近い骨状態なども招いてしまいます。内科的にお薬を内服する方法もあるのですが内科的治療が困難となった場合は、当科にご紹介いただいて外科的に腫大腺を摘出する手術をおすすめします。長期透析療法を受けてきた患者さんには副甲状腺4腺すべてが腫大してしまう病態が存在し(続発性副甲状腺機能亢進症)、当グループでは多くの手術症例を経験してきました。副甲状腺に関する手術治験があるため最近、原発性副甲状腺機能亢進症に対する手術も多く依頼されてきております。

<外科的手術>
・シャント手術:自己血管で造設/人工血管を使用して造設/血流不全に対する修復手術
・腹膜透析用カテーテルに関する手術:留置術/抜去術
・腎移植手術:生体腎移植/献腎移植
・副甲状腺手術:副甲状腺全摘出術+前腕筋肉内自家移植術/副甲状腺摘出術(1~2腺)

・献腎移植をご希望の方:
登録開始してから10年以上は待機状態となります。登録手続き完了後、当科に定期的に年1回通院していただきます。その間の悪性疾患スクリーニング、副甲状腺疾患の有無などについてもフォローいたします。必要時には消化器系・泌尿器系・婦人科系の治療をおすすめしています。当院での献腎移植登録をご希望の方は、現在通院している透析病院・透析クリニック主治医に紹介状を書いてもらって、病診連携(病院から病院へ連絡)を通して予約をとっていただいております。
・生体腎移植をご希望の方:
透析療法の開始前に生体腎移植を計画することは可能です。血清クレアチニン値が 3mg/dL を超えてしまった時点で、生体腎移植をご希望の方は、腎臓内科担当主治医を介してご紹介いただいております。ただし腎臓内科担当医に意見書を書いてもらって、身体障害者手帳を取得しておくことをおすすめします(当院での検査分が3割負担になってしまいます)。血液型が異なっていても生体腎移植は可能です(血液型不適合生体腎移植)。詳しい説明をご希望の方には、腎臓内科担当医からご紹介いただき手術の可否についてご説明しております。ただし生体腎移植説明希望の方は、ドナー候補がいることが必須となります。

・臓器移植後の方:
移植後は生涯にわたり免疫抑制療法が必要となります。生涯にわたり当科に通院していただきます。他科疾患(外傷などの急性期疾患、消化器系や脳神経系の外科手術など経口摂取ができなくなった際の免疫抑制療法管理、妊娠出産時の免疫抑制療法管理、移植後肺結核症に対する管理など)に対する副科対応も行っています。

・1~2腺腫大の方(透析を受けていない腎機能正常の方): 
術式)副甲状腺摘出術
腫大腺のみを摘出します。副甲状腺ホルモンは摘出されていない副甲状腺だけで機能します。一部の方で、すべての腺が腫大する遺伝的疾患があります。副甲状腺だけでなく、他の臓器にも嚢胞性疾患ができる病態であり、この場合は長期的に術後フォローアップいたします。
・すべての腺が腫大している方(透析を受けている方): 
術式)副甲状腺全摘出術+前腕筋肉内自家移植術
副甲状腺すべての腺を取り除いて、摘出した副甲状腺組織の一部を前腕筋肉の中に埋め込む手術を行います。透析療法を継続している限り、副甲状腺組織は刺激を受けて腫大しようとします。前腕に埋め込んだ副甲状腺組織が再腫大した際には、局所麻酔下で再度、腫大腺を取り除く手術を計画します。本手術を受けたから安心というわけではなく、副甲状腺が再腫大しないように内服治療を継続することが大切であり、長期的な透析クリニックとの連携が必要となります。

歴史

  • 平成08年05月  :新病院移転。22床に増床。
  • 平成09年04月  :大塚聡樹医師(S59卒)が名古屋第二赤十字病院・移植外科より赴任。
  • 平成10年01月27日:当院初の腎臓移植を生体間で施行。
  • 平成10年02月25日:日本臓器移植ネットワークに入会、死体腎移植施設に登録。
  • 平成10年07月22日:シャント閉塞に対し経皮的血栓除去術を導入。
  • 平成10年12月22日:腎提供を受け死体腎移植1例目を施行。
  • 平成11年08月10日:小児科と連携し東三河で初の小児生体腎移植を施行。
  • 平成11年10月29日:日本透析医学会の透析認定施設に認証。
  • 平成11年12月  :透析2部制を導入。
  • 平成12年08月  :消化器疾患の潰瘍性大腸炎に対して顆粒球単球吸着療法を開始。
  • 平成15年10月18日:厚生労働大臣感謝状授与(臓器不全対策推進の功績)。
  • 平成18年    :慢性関節リウマチに対してリンパ球吸着療法を開始。
  • 平成22年01月  :長坂隆治医師(S63卒)が名古屋第二赤十字病院・移植外科より赴任。
  • 平成22年04月01日:移植外科を診療科として標榜。
  • 平成22年12月18日:脳死下提供腎による献腎移植を施行(法改正後、東三河初)。
  • 平成23年03月29日:ABO血液型不適合の生体腎移植を施行(当院初)。
  • 平成24年03月23日:副甲状腺機能亢進症に対して副甲状腺摘出手術を施行(1例目)。
  • 令和01年10月19日:長坂隆治医師が厚生労働大臣感謝状授与。
  • 令和03年03月  :岩瀬勇人医師(H12卒)が米アラバマ大学より赴任。

成績

腎移植の成績(2021年4月1日現在)

献腎移植(20例)生着率:1年 100%、3年 94.7%、5年 87.4%、10年 87.4%
生体腎移植(56例)生着率:1年 96.3%、3年 94.0%、5年 82.9%、10年 82.9%

現在実施中の臨床研究

豊橋市民病院移植外科では、以下の臨床研究を実施しています。

更新日:2023年08月16日

管理番号
133
院内代表者名
長坂隆治
研究の対象
二次性副甲状腺機能亢進症
(対象となる方からは直接同意を得ています。)
開始日
2013/07/03
終了予定日
2030/03/31

管理番号
361
院内代表者名
長坂隆治
研究の対象
移植外科外来に通院された患者
(対象となる方からは直接同意を得ています。)
開始日
2018/03/07
終了予定日
2025/03/31

管理番号
645
院内代表者名
長坂隆治
研究の対象
当院で施行した副甲状腺摘出術(PTx)症例
(オプトアウト:公開情報参照 ※同意取得が可能な方からは直接同意を得ています。)
開始日
2022/02/02
終了予定日
2026/03/31

管理番号
646
院内代表者名
長坂隆治
研究の対象
副甲状腺機能亢進症及び献腎移植登録で当院移植外科外来を受診した患者
(オプトアウト:公開情報参照 ※同意取得が可能な方からは直接同意を得ています。)
開始日
2022/02/02
終了予定日
2025/03/31

スタッフ

出身大学
日本医科大学
指導医
  • 臨床研修指導医
専門医
  • 日本外科学会外科専門医
  • 日本透析医学会透析専門医
認定医
  • 日本移植学会移植認定医
  • 日本外科学会認定医
  • 日本消化器外科学会認定医
  • 日本臨床腎移植学会認定医
その他
  • 日本移植学会代議員
  • 日本臓器保存生物医学会評議員
  • DMAT隊員
  • 麻酔科標榜医
  • 愛知県施設内移植情報担当者(院内コーディネーター)